ひきちガーデンサービスの日記

オーガニック植木屋の日常や雑感

一冊の本ができるまで

新刊の初稿ゲラがやってきた!

書いたのはもうずいぶん前のような気もするし、最近のような気もする。ところが書いてからも、じつにいろいろな作業が待っているのである。

まず最も大変なのが、写真撮影。内容に合う写真を、今までに撮った写真の中から、庭や虫など探していく。これがなかなか大変な作業なのである。かなり整理してタイトルを付けているつもりなのだが(こうしておくと、検索をかけて探せる)、未整理のものも多い。そうなると、1枚1枚写真を見ていくことになるのだが、目がしょぼしょぼする作業。それでもどうしてもない写真は、SNSで友人に呼びかけたりして、貸してもらう。

さらに、ブックデザイナーと編集者と私たちで打ち合わせをして、レイアウトの方向性と、使いたい写真を選定していく。

そうしてざっくりとレイアウトしてもらった原稿の写真の位置や大きさを見て、文のねじれや誤字脱字を直して、完璧なレイアウトにしてもらう。いよいよ初稿を完成させて、出版社側の校正が入る。そして、私たちのところに送られてくる。←今ココ!

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それと共に、カバーデザインとオビも数種類できてくるので、その中から好みのものをそれぞれ選ぶ。この時は、旅行前の荷物のパッキングのようなとてもワクワクした気持ち。

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校正以外は、全て編集者任せという著者も多いだろうが、私たちの場合は庭の本なので、ビジュアル的なものも大事。また、出版社が小さくて、著者を大切にしてくれ、私たちの意見を最大限に尊重してくれることをいいことに、意見を言いたい放題言わせてもらっている。

校正が終わって、出版社に返送すると、私たちの直した箇所を反映させて、再校ゲラが届く。再校ゲラの校正をして返送すると、編集者が目を皿のようにして間違いがないかを確認し、いよいよ印刷となるのである。

そうやって製本されたものは、出版取次という本の卸問屋のようなところから、全国の書店に配本される。

一冊の本ができるのには、こんなにたくさんの工程が入っている。特に私たちの場合は、施工した庭の写真も載せるので、施主さんの了解もいるし、虫の写真などは狙って撮れるものでもないので、虫たちの協力(?)もいる。ない写真は、鳥の写真が得意な人、蝶の写真が得意な友だちなどが、今まで撮り溜めた写真の中から、必死に探してくださるのである。しかも、私たちの本を書くにあたっては、参考文献が多く、一冊書くたびに100冊ぐらいの本や資料から裏づけを取っている。中には、たった5行ほどのことを書くために、本を一冊読むこともある。全ての資料を参考文献として載せるとは限らないが、私たちにとってはいろいろな本が宝物であり、そういう本を書いてくださった先人の方たちにも感謝しかない。

こうやって、たくさんの人の手をお借りして一冊の本が出来上がる。だから、刷り上がって手元に届いた時は、頬ずりしたくなるのである。

そう考えると、編集者も校正者も入っておらず、参考文献も書かないでいいネット上の情報の信頼性はどうなんだろう?ちょっと怖い気もする。自分のこのブログも含めてだけど。

もちろん、出来上がった本は、写真を貸してくださった方や日頃からお世話になっている方には献呈するので、お礼状と共にお送りする。

この本が書店に並ぶのは10月半ばごろ。楽しみにしていてくださいね!