ひきちガーデンサービスの日記

オーガニック植木屋の日常や雑感

モッコウバラ

いよいよモッコウバラの季節だ。

このバラはバラと言ってもトゲがない。バラというのに香りもない。病虫害にもあいにくく、生育もいいためにすぐに茂ってアーチやパーゴラを形づくる。

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我が家で植えてあるところは、日陰といってもいいほどのところで、おまけに肥料をやった試しもない。なのに、毎年見事な花を咲かせてくれるのである。

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そんなモッコウバラだからこそ、育ち過ぎて枝が四方八方に伸び、放任してしまうと荒れた庭になってしまう。

花が終わったらかなり思い切った剪定をし、その後は「シュート」というキツくぎゅーんと伸びる枝を、枝分かれしているところまでたどっていって、たびたび切り落とす作業が必要だ。

モッコウバラには白色のものもあり、それもまた清楚で愛らしい。

雑草取り

ひと雨来る前に、今日は朝から雑草取り。

私たちの三種の神器は、花がら摘み用のガーデニングバスケット、苔取り鎌、それにお手製のちょこっとお尻を乗せる草取り専用椅子。

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バークチップを敷いてある園路だけは、苔取り鎌を使って根こそぎ抜いていく。
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うしろを振り返れば、この通りに園路がぴっかぴか。この達成感がなんとも言えない。だから、雑草取りは好きだ。
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雑草取りを黙々としていると、悲しかったこと、悔しかったこと、腹が立ったことなど、いろんな感情が湧いてくる。でも、言葉にして人に言ってしまうと、本来の自分の感情とは少し違って薄まってしまうような、そもそもうまく言葉にできないような、そんなモヤモヤを雑草たちは静かに受けとめてくれる。雑草取りは瞑想道場のようなもので、けっきょくは雑草を通して自分と向き合っているのかもしれない。

f:id:hikichigarden:20240421134702j:imageハルジオンはかわいい!
f:id:hikichigarden:20240421115934j:imageセリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)

セリバヒエンソウは優雅な花で、ついつい見逃してしまう。カタバミは明るい黄色の花がかわいい。
f:id:hikichigarden:20240421115924j:imageカタバミ(酢漿)の花

オオイヌノフグリは、私たちの住む地域では、2月でも咲いていて、ヒラタアブなどの貴重な蜜源になっている。
f:id:hikichigarden:20240421115908j:imageオオイヌノフグリ

キュウリグサは葉を揉むとキュウリくさいことから、そう呼ばれる。花はワスレナグサにも似て愛らしい。
f:id:hikichigarden:20240421115918j:imageキュウリグサ

タンポポはあまり歩かないような日当たりの良い硬いところを好む。最近は日本タンポポと西洋タンポポの雑種が多い。
f:id:hikichigarden:20240421115915j:imageタンポポ

こういう雑草も、土留めにはもってこい。抜かずに活躍してもらう。
f:id:hikichigarden:20240421115937j:imageスズメノカタビラかな?

抜き終わったり、地際で切った雑草は、ゴミにしないで、木や草花の根元に敷き込めば、マルチとなって乾きを防ぎ、やがて枯れて堆肥となってゆく。循環の第一歩。
f:id:hikichigarden:20240421115931j:image草マルチ

毎日、トラックが朝晩通るところは、雑草も生えずに轍(わだち)となっている。遠目から見たら、芝のようなグリーンに見える。なのに、水やりも雑草抜きのメンテナンスもいらない。2週間に一度、5cmに刈りそろえるだけ。雑草ほどラクなものはない。
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オーガニック・ガーデナーのための実践講座

昨年から始まったNPO法人日本オーガニック・ガーデン協会の「初心者向き実践講座〜命のめぐる庭づくり」が、今年も4月から始まった。

毎月第一土曜日で、単発でのご参加もOK!鳥の声や森の爽やかな風で、リフレッシュしてはいかが?
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第一回は、道具の使い方。それなりにやってきたガーデナーでも、あんがい我流でやっていて、けっこう間違った使い方をしてることも多い。

かといって、いまさら人に聞けないし…ということもあるよね。でも、ご心配なく。懇切丁寧にお教えします。ちゃんと道具を使えると、疲れ方も全然違う。

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三点脚立の立て方は、コツがいります。

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ロープワークの講座などもあり、庭仕事だけでなく、災害対策など、いろんなことに応用可能。
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道具のお手入れの仕方も。砥石でハサミを研ぎます。
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毎回のランチも美味しい。

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コミュニティ・ガーデンでの作業もわいわいと楽しい。

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外でみんなで食べるランチの味は最高!

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スタッフは私たち4人。皆さんの参加をお待ちしています!

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ご参加は日本オーガニック・ガーデン協会のホームページ「はじめてのオーガニック・ガーデン講座」からお申し込みを!

↓↓↓

http://joga-garden.jp/index.html

結社と吟行

f:id:hikichigarden:20240416172927j:image茶畑と桃の花

私たちは夫婦して「椋(むく)」という俳句の結社に参加している。結社なんていうと、まるで悪だくみしてる怪しい人たちの集まりのように聞こえるが、俳句界では、グループのことをそう呼ぶのだ。

f:id:hikichigarden:20240416214111j:image諸葛菜(しょかっさい)。ムラサキハナナともいう

我々の師は俳人の石田郷子先生で、ハルとは青春時代の友人である。たまたま、近くに越してこられて、私たちを句会に招待してくださったのだ。俳句をやったこともない私たちだったが、面白半分に覗きにいって、そのまま会員になってしまい、かれこれ13年。ちっともうまくはならないけれど、それなりに年数だけは重ねてきた。

f:id:hikichigarden:20240416171858j:image川の土手を吟行

うちの句会の特徴は、なんと言っても「吟行」だ。これも、最初は「ぎんこう」という音に「はて?」と疑問符だらけ。普段使い慣れない言葉なので、bankの「銀行」が思い浮かんでしまったのだ。まぁ、要するに、俳句のネタを拾うためのフィールドワークのようなもの。野山をみんなでワイワイ歩きながら、季節ごとの自然に目をとめ、俳句を作るのである。

途中、忘れ物をしただの、靴が汚れただの話していると、それをネタに他の人から俳句にされているので、のっぴきならない。と言いながらも、じつに楽しいのだ。

f:id:hikichigarden:20240416172904j:image蒲公英と芝桜

植物に関する仕事をしていると、カタカナ表記で植物の名前を書くのが通常だが、俳句をやるようになって、漢字での表記をだいぶ覚えた。

最初の頃は「風信子」という季語を、「なんで女性の名前?」と思ったものだが、「ヒヤシンス」と読むのだから、なかなか難しい。同じく「木通」のことも「きどおりって、どこの通り?」なんて思ったら、「アケビ」と知って赤面。そんなことを繰り返しながら、だんだんと季語を覚えていく。

f:id:hikichigarden:20240416172854j:image卯木(ウツギ)の花

俳句は、季語集と小さなノートとペンさえあれば始められるので、初期投資の少ない趣味である。句友(くゆう)である仲間は、物知りで好奇心が強く、いつも教えられることばかり。それもまた楽しみのひとつだ。

句会には月に2回参加しているので、たびたび俳句のことも投稿していこうと思う。

 

雑草

庭付きのアパートに越してきた方から、庭をなんとかしたいという依頼があり、まずは更地にすることを目標に作業することにした。

庭には、管理会社によって、除草剤が撒かれていた。やはり除草剤は「死の光景」である。

f:id:hikichigarden:20240415092938j:image除草剤を撒かれた芝地

しかし、雑草も負けてはいない。スズメのエンドウ、スギナ、ヒメオドリコソウが生え始め、なんとか緑の大地に戻そうとしている。f:id:hikichigarden:20240415093247j:imageスギナ

そして、そのことは、これらの雑草はすでに除草剤耐性になっているということでもある。雑草が除草剤を撒かれすぎると、除草剤に対して耐性をつけ、どんどん強くなり、もはや除草剤を撒いても絶えなくなっていく。すると、農薬会社はさらに強い除草剤を作るだろう。イタチごっこだ。

そういえば、広島に原爆が落とされた時、今後75年間は草木が生えないだろうと言われたが、翌年にはスギナをはじめ、いろいろな雑草が生えてきたという。雑草の生命力には驚かされる。 雑草は大地を浄化しようと、がんばってくれているとしか思えない。

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なお、不織布などでできた防草シートは、紙でも布でもなく、プラスチックなので、紫外線で劣化し、最後はボロボロになってしまい、土中にマイクロプラスチックとなって残ってしまう可能性が高い。そうなると、もう回収は不可能である。

Amazon公式→https://amzn.to/3vUbQER

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防草シートがわりに人工芝を敷き詰めようかと考えていた若い施主さんだったが、施工後に露出した土を見て、考えが変わってきた。私たちといっしょに作業して、土の感触に感動したのだ。

f:id:hikichigarden:20240415222335j:image施工後の土の露出した庭

施主さんには、雑草よけとして、クローバーのタネを播くか、クリーピングタイムを植えることを提案してみようと思う。

f:id:hikichigarden:20240415221048j:imageクリーピングタイム

春らんまんのオーガニック・ガーデン

f:id:hikichigarden:20240414124715j:image昨日の現場

昨日の現場で、植え替えのために抜いてきたパンジービオラ。まだ花が咲いていて、捨てるにはあまりにもしのびなく、コミュニティ・ガーデンに植えてみたら、ゴージャスに!

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ついでにハーブ園で購入したエキナセアキンセンカコーンフラワーも植えよう!

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コミュニティ・ガーデンのジューンベリーも満開!

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ギボウシが出てくると、庭もぐっと華やかになってくる。葉っぱだけなのに、ギボウシの存在感は抜群。

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近くの山は雑木が色づいて、パレットにパステルカラーを広げたよう。俳句の季語では、こういうのを「山笑う」という。

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オーガニック・ガーデンでは、ナナホシテントウもたくさん活動している。

さて、今年はこれからどんな虫たちとの出会いが待っていることだろう。

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水鉢は小さなビオトープ

ビオトープというと「池」を作らねばと思いがちだが、そこまでしなくとも庭にひとつ水鉢があるだけで、生き物たちの憩いの場になる。

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水鉢はその場に据え置くだけでもいいが、土を掘って半分以上を埋め込むと、水温が安定しやすい。蚊対策として、メダカを何匹か入れておけば、餌をやらずともボウフラが餌となる。近年の日本の夏は沸騰するほど暑いので、真夏には葦簀(よしず)などを立てかけ、水鉢の周りを植物で覆うなどして日陰を作り、水温上昇しないような工夫も必要だ。

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また、水生植物を入れておくと、見栄えも涼しげで水の浄化にも役立つし、ホテイアオイの根にメダカが卵を産んだりする。

ただし、水生植物やメダカは、増えたからと、そこらの川や池に捨ててはいけない。生態系の撹乱になってしまうからだ。

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我が家ではここにツチガエルやヤマアカガエルがやってくる。

f:id:hikichigarden:20240414080524j:imageヤマアカガエル

時にはトンボも来て、産卵することもある。トンボは飛びながら、光るところを見て、水場だとわかるらしい。

また、アシナガバチが水生植物の葉に止まって、水滴を飲んでいる時の顔は、なんとなく「ふー、美味しい!」と言ってるようにも見え、とっても可愛く思えるのだ。

もちろん水生生物たちは農薬に弱いので、庭に小さなビオトープがあれば、おのずと無農薬のオーガニック・ガーデンになる。