ひきちガーデンサービスの日記

オーガニック植木屋の日常や雑感

竹筒埋め込み法

毎年剪定作業しているお客さんからSOSが入った。庭の東側の隣家との境に植えられているビワの元気がないとのこと。至急駆けつけた。

昨秋、剪定して以来、葉の茂りがよくなく、葉っぱも小さい。毎年同じぐらい剪定しても、例年ならモッサモサになるのに…。

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なのに実をたくさん付けていて、木が弱っているため、タネとして子孫を残したいのかも。実は人間で言ったら「出産」に当たるので、木への負担が大きいため、まずは実を全て取り去る。

f:id:hikichigarden:20240506172840j:image新葉は大切にしながら、実だけを取っていく。

今回は、ビワの根の先あたりに、3箇所の竹筒埋め込み法を試してみることに。これにより酸素と水を根の先にまで行き渡らせる目的。

まずはダブルスコップで土を掘り上げる。が、40cmほど掘ると、硬い粘土状の岩盤層。こんな硬いところで、このビワとしては精いっぱいがんばってここまで大きくなったのだろう。木の健気さに心打たれる。

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穴を掘ったら、縦割りにして節を抜いた竹を埋め込む。

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バーク堆肥と土を混ぜたもので埋め戻して、筒の穴から水を「これでもか!」というぐらいに入れる。

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干天が続くようなら、この竹筒の穴から水やりをしてもらうよう、施主さんには伝えてきた。

もちろん最後に、「あきらめずにもう少し生きようよ!」という一言を掛けてきた。がんばれ!

 

 

 

 

 

はじめてのオーガニック・ガーデン2

昨日はNPO法人日本オーガニック・ガーデン協会主催の「初めてのオーガニック・ガーデン 実践講座」の第2回講座。5月らしいさわやかな天気に恵まれた。

午前中は季節の花の植え替えとサンカクバアカシアの植栽。どちらもちょっとしたコツがあるので、それを伝授。

f:id:hikichigarden:20240505075629j:image日陰には日陰に合う花を

虫たちもいろいろ。農薬散布のない庭には、とにかくナナホシテントウナミテントウが多いし、鳥もたくさんやってくる。

f:id:hikichigarden:20240505075745j:imageナナホシテントウ幼虫

サンカクバアカシアはギンヨウアカシアに比べて花つきはよくないかもしれないが、なかなか手に入りにくい種。植え方の基本をしっかりとお伝えしたので、もうみなさん、大丈夫!

f:id:hikichigarden:20240505075940j:imageサンカクバアカシア

f:id:hikichigarden:20240505080009j:imageバイキング形式のランチ

午後はみんなでドロバチの竹筒ハウスを作ってみる。竹を切るときは、剪定ノコギリよりも「竹引き」という刃の目が細かいノコギリの方が切りやすい。

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そのあと、束ねた竹を「トックリ結び」という方法で縛る。ロープワークをやったことがないと、これがなかなか難しい。

f:id:hikichigarden:20240505080440j:imageトックリ結びf:id:hikichigarden:20240505080606j:image

みんなで協力し合い、できた!オオフタオビドロバチ、ミカドドロバチ、それともアルマンアナバチが入ってくれるかな?

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ユーカリ ポポラスの植栽

まず、ポポラスという名前がかわいいんである。丸い葉っぱの銀葉で、庭にアクセントがつく。乾きにも強い。だが、寒さには少々弱い。また、繁りすぎて枝が乱れるため、剪定は年に2回ぐらいしないと大変なことになる。

f:id:hikichigarden:20240503053706j:image丸い葉っぱ

東松山市のオーガニック・ガーデンカフェで、お隣との目隠として植えることに。確実に根を張らせるためには、最初から2階の窓が隠れる大きさではなく、細くて小さな苗から植えよう!人間の子どもと同じで、小さい苗からの方がその地域の環境に早く慣れやすい。

まずはなかなか背丈が伸びなかったネズミモチの抜根から。根回りを掘って根鉢を出すようにしてから、三叉とチェーンブロックで吊り上げる。

f:id:hikichigarden:20240502174443j:image抜根は根回りを掘る

f:id:hikichigarden:20240502174455j:imageチェーンブロックで吊り上げる

f:id:hikichigarden:20240502174527j:image根が引き剥がされて抜けた!

ネズミモチが抜けたら穴を掘って有機堆肥を土と混ぜ込んで、ポポラスを穴に置く。

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水を思い切り入れて苗を少し揺らすと、水がドバッと吸い込まれるので、水が引かなくなるまで入れる。これを「水決め」という。

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水が引き切る前に土をかぶせて、完全に水が引いたら軽く踏み込む。クレーター状態にしておくと、雨が降った時にしみこみやすい。

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立派に繁れば、剪定した枝でスワッグを作るととっても素敵!すくすく育ちますように!

f:id:hikichigarden:20240502180648j:imageお茶とランチをご馳走に

 

緑摘み(ゴヨウマツ)

今日も松の手入れ。まさに今が松の手入れシーズンだ。今日の松はゴヨウマツ(五葉松)という種類で、アカマツクロマツと比べると葉が短い種である。

この時期、ものすごい勢いで新芽が伸び、ピンクの花まで咲いている。

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この新芽を指(ハサミでもかまわない)でもぎ取ることを「緑摘み」というのだが、全ての新芽を摘んでしまうと、古くて長年使い込んだ葉だけになってしまう。効率よく光合成をするのには、若い新入社員も必要なので、葉の根元にあって、できるだけ立ち上がりそうな小さな新芽は残しておく。

f:id:hikichigarden:20240430173912j:image緑摘みする前

f:id:hikichigarden:20240430173921j:image奥の小さな目は残す

どうしても葉の根元に残すのに適した小さな新芽がない場合は、2センチぐらいの立っている新芽を半分ぐらいにちぎる(ハサミを使って切ってもよい)。

今どき2メートル超えのこんな立派なゴヨウマツもそうそうない。松の手入れは手間がかかり、費用もかさむうえに、現代の家や庭とはなかなか雰囲気が合わないので、根本から切ってしまう家も多い。松の手入れは日本独特のもので、他の国ではこのような手入れはしないので、この剪定技術の伝統が途絶えてしまわないか心配だ。

f:id:hikichigarden:20240430174711j:image剪定前

f:id:hikichigarden:20240430174720j:image剪定後

 

緑摘み(松の手入れ)

今日はお世話になっている俳句の師、石田郷子先生のお宅の松のボランティア手入れ。この時期、新芽がギュンギュンと伸びてくるので、新芽を摘むのだ。そのことを「緑摘み」という。

f:id:hikichigarden:20240429103009j:imageヘルメットと安全帯着用

お昼はこの家の持ち主、郷子先生がタケノコ尽くしのお昼を作ってくださった。

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庭にはシャガやヒメウツギが。

f:id:hikichigarden:20240429141048j:imageシャガ

f:id:hikichigarden:20240429141054j:imageヒメウツギ

松は新芽が伸びるのが年々早くなっているような気がする。さて、できあがり!どうかな?

f:id:hikichigarden:20240429165344j:image剪定前

f:id:hikichigarden:20240429165349j:image剪定後

 

 

 

シェアハウスとコミュニティ・ガーデン

今日は日野市で講演会。f:id:hikichigarden:20240428195504j:image

もう25年ほど前に、カンボジアの支援活動で知り合った本橋さんのおうちを壊してシェアハウスに建て直し、庭をコミュニティ・ガーデンにする計画。そのためには、まずは設計士さん、庭のボランティアさん、私たちが集まって、みんなで共通のコンセプトを持てるようにと、本橋さんが企画してくれた。化学物質過敏症アトピーの方、子どもや動物も含めて、みんなが楽しめる庭となったら、やはりオーガニック・ガーデンなのだ。
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参加者の皆さんが熱心で、話しやすい!いちいち頷いてくださる姿に励まされる。

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終わってからは、本橋さんちの庭をみんなで見に行く。ほどよい広さで、いろいろ楽しいことができそう。そして、できるだけすでにある植物は活かすつもり。ナチュラルで雑草が生かされて、皆が楽しめる庭、いろいろな生き物が集まってくる庭、そんな庭を目指したい。

さっそく5月26日(日)に、有志で集まって、壊す家周りにある植物のレスキューなどを行う予定。午後1時ごろから。お近くにお住まいの方は、ぜひご参加を!よろしくお願いします。 

f:id:hikichigarden:20240428200948j:image玄関周りのエビネ。移植予定。

 

コア山吟行

昨日は俳句結社『椋』の中の「山雀句会」で、サクラの名所、コア山へ吟行に行った。さすがにサクラは終わっていたが、コア山にはウグイスの「ホーホケキョ」の鳴き声がこだまし、それに混じってメジロの「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」が合いの手を入れ、さらにはオオルリの「ピールリポピーリ」が。こういうのを「聞きなし(聞き做し、ききなし)」と言って、鳥や動物の鳴き声を人の言葉や文字に置き換えて、覚えやすく表現する。ホトトギスの「特許許可局」なんかもそうだ。

コア山は今、サクラの頃とは、また違った味わいが宿っている。昨日のいちばんの目的は、ヤマフジを見ることだったが、時期が少し早すぎて、うっすらと見える程度。そこで、こんな一句を作ってみた。

●うっすらと山藤掛かる雑木山 からむし

「からむし」は私の俳号。虫がついているが植物の名前で、言ってみれば、たくましい雑草の仲間である。苧麻(ちょま)とも言って繊維が取れるため、古代から衣服に用いられてきた。

f:id:hikichigarden:20240427232537j:imageカラムシ

そして、なんと言っても、ここコア山には、我らが石田郷子先生の句碑があるのだ。句碑には「コア山のここに佇つべし花のころ」という俳句が、先生の文字で書かれている。石田郷子先生は鳥に詳しく、角川から出ている「大歳時記」にも、鳥の解説をたくさん書いていらっしゃる。コア山には自然にできた鳥の水浴び場があり、多くの鳥を観察できる。そのため、バードウオッチャーがシャッターチャンスを狙っていることもある。
f:id:hikichigarden:20240427132409j:image石田郷子先生と句碑

セリバヒエンソウは中国原産の外来種だが、日本の風景に違和感なく溶け込み、近年数を増やしているように思う。元々は園芸種で、明治時代ごろに輸入されたという。
f:id:hikichigarden:20240427132401j:imageセリバヒエンソウ

マムシグサとは、命名がうまくてうならされる。
f:id:hikichigarden:20240427132343j:imageマムシグサ

ヘビイチゴは足下を明るくしてくれるような黄色で可愛らしい。じきに実がなるけれど、食べても味がなくて、美味しくなかった。だが、ホワイトリカーに実を漬け込んだものは、ブヨに刺された時によく効くから、毎年作ってしまう。
f:id:hikichigarden:20240427132347j:imageヘビイチゴ

さて、次の吟行では、またどんな自然との出会いが待っていることだろう。