ひきちガーデンサービスの日記

オーガニック植木屋の日常や雑感

映画『バービー』を観て

遅ればせながら、映画『バービー』を観てきた。もちろん、ピンクを着て行きましたとも(笑)。

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本国アメリカでは大ヒットで、カップルで観に行ったら、意見が割れて別れてしまった人たちも数多くいるとか。日本上映前には『オッペンハイマー』のキノコ雲と『バービー』の髪型をコラージュしたものがアメリカで流行り、それに配給元のワーナーが肯定的なコメントをつけてしまったから、さぁ大変!そんなこともあって味噌をつけられたせいか、日本では鳴かず飛ばずの映画となってしまった感がある。
映画はポップで明るくてオシャレで、ミュージカル風な場面もあり、前日、『ウーマン・トーキング』を観て、あまりのトーンの暗さに参っていた身としては、『バービー』の明るさに救われた。
バービー人形の役を人間がやっていて、そこは女権の世界。ケンは添え物でしかない。ある意味、人間の現実を人形の世界で逆転させたような感じ。
ところが、ちょっとした問題が起きて、バービーがアイデンティティクライシスを起こしてしまう。そこで、バービーとケンが人間世界に行くことに。ケンは人間界で男性が実権を握っていることに憧れを感じ、その方法を学び、人形界に戻ると、みんなを洗脳して、バービーランドをケンランドに変えてしまう。しかし、実際は仕切ることに疲れ、弱みを見せて泣くこともままならない男社会に疲れを感じてしまう。「自己認識の欠如が争いを生み出す」、「自分の存在意義を捉えるときに、女性の存在を必要としてしまう」などのセリフに、どきりとしてしまう人も多いはずだ。
圧巻シーンは、人間であり、バービーの持ち主だったグロリアが、男社会に抑圧されてる状況の不満をぶちまけるシーン。それにより、バービーたちの洗脳を解いていく。
鳥獣戯画ならぬバービー戯画によって、生々しくなりすぎず、それでいてフェミニズムについて、新しい視点から描いているところがとても新鮮だった。何しろ、バービー人形自体は、女の子を「女の子らしく」するためのお人形なのに、そこからジェンダーについて考えさせられるとは思ってもいなかったから。