ひきちガーデンサービスの日記

オーガニック植木屋の日常や雑感

香害(こうがい)

時々、お客さんの庭で仕事をしていて、気分が悪くなることがある。隣の家の洗濯物の匂いだ。頭痛と気分の悪さが私たちを襲う。
先日、zoomで香害に関する日本消費者連盟の田中輝子さんによる講演会を聞いた。
いくつか印象に残っていることをあげたいと思う。
まず、香料やその他の化学物質を使った合成洗剤は、洗濯機を傷めるということ。マイクロカプセル化したことで、香料が長く残るようになったこと。一度環境に流出した場合は、回収不能であるということ。
また、「移香」といって、マイクロカプセルの香りが移るとなかなか取れず、そのため、化学物質過敏症の人は電車の座席に座れず、アルミシートを敷いて座っている人もいるという。「移香」によって図書館で借りた本に香りがキツく残っていてめくれなかったり、いろいろな人が触って自分のところにやってくるお札までが臭くて、買い物ができない人もいる。
だが、マイクロカプセルの洗剤を使っている人は「嗅覚疲労」によって、鼻が麻痺していてにおいがキツイことに全く気づかなくて、より強い香りを求めてしまう。

f:id:hikichigarden:20231118202307j:image

そんなzoom講座を聞いたその日の午後、宅配業者の下請けドライバーの若い女性が、荷物を持ってきたのだが、香りがキツくて段ボールにまで「移香」して開けられない。うちには風除室といって、玄関と外の間に、靴のまま入るガラス張りの部屋がある。その風除室中ににおいが充満し、窓を全開してしばらくしないと、風除室に出られないほど。
翌日もまた彼女が配達にやってきたので、思い切ってにおいがキツイことを言ってみた。マイクロカプセルやジェルボールなどの洗剤を使っているか聞いたところ、なぜわかるの?という顔をされた。その匂いで気分が悪くなり、頭痛がすること、ダンボールにまでにおいがついてしまい、近寄れなくてすぐには開けられないこと、化学物質過敏症の人はきつい香りに弱いことなどを伝えたのだが、初めて言われたのかキョトンとした顔をしていた。わかってもらえたらいいのだが…。
さて、対処法も講師の田中輝子さんが教えてくれた。粘着ローラーを衣服に転がしてマイクロカプセルのかけらを取り、しばらくベランダで干して揮発させてから洗濯するといいらしい。
自分にとってはいいにおいだと思っても、それで体調が悪くなる人もいるということを、1人でも多くの人に知って欲しい。
もちろん庭の農薬も、化学物質過敏症を引き起こすことは、言うまでもない。